魚町遺跡第3地点(1区)

所在地 :北九州市小倉北区魚町4丁目
調査時期:令和5年2月1日~2月27日
調査面積:290㎡

 

調査の内容

 本遺跡は紫川の支流である神嶽川の東岸に位置する。近世小倉城の東曲輪にあり、標高は約1.5mである。

 調査区の西側では野面積みの石垣が確認され、長さ約25mを測り、南北方向に延びている。今回の調査では前面の検出をほとんど行っていないが、裏込め部分に設定した1トレンチでは、天端石と考えられる石材より約1.5m下位にて、栗石が途切れていることを確認した。このため、石垣は少なくとも1.5mほどの高さがあると考えられる。また、裏込めは石垣の前面から約3mの幅があり、その最背面では、比較的大きめの礫を並べ置いているのが確認できる。石垣構築時の工程の一つと考えられる。

 幕末頃とされる『小倉藩士屋敷絵図』によると、付近には神嶽川に沿って石垣が築かれていたことがわかり、今回、確認された石垣はこの川の護岸になるものと考えられる。また、石垣のすぐ横は「郡屋敷」と記された屋敷地となっている。確認された石垣の東側では、石列や土坑、ピットなどが確認されており、この部分が屋敷地に当たると考えられる。また、南側では石垣に隣接する位置で埋甕や礎石が確認されており、石垣のすぐ横まで屋敷地の範囲となっていたと考えられる。なお、土層観察によると屋敷地は石垣の構築に併せて造成されたと考えられ、石垣裏込めの背部を土手状に盛り上げ、その背部を埋めていくような工程が想定される。

 これらの成果は、近世小倉城の形成過程を考える上で重要な資料と言える。


 

調査区全景(上が東).jpg

調査区全景(上が東)


 

石垣検出状況(北西から).jpg

石垣検出状況(北西から)


 

1号石列検出状況(南から).jpg

1号石列検出状況(南から


 

主な遺構

 近世〜近代  石垣、石列、礎石、埋甕、土坑、ピットなど

主な遺物

 近世〜近代  陶磁器、土師器、瓦質土器、瓦、銭貨、鉄製品、下駄など
 コンテナ  127箱

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