貫・裏ノ谷遺跡第2地点2区・3区
所在地 :北九州市小倉南区大字貫
調査時期:令和5年8月21日~11月30日
調査面積:902.45㎡
調査の内容
本遺跡は貫川の南にあり、貫山から派生する丘陵先端部に位置する。
2区は丘陵の頂部に近く、標高は約21mである。近世墓と考えられる土坑群が確認された。遺構は100〜160㎝ほどの長方形か楕円形で、深さは最大で約90㎝を測る。4・5号土坑では方形に巡る帯状の層が確認でき、木製の棺材の痕跡と考えられることから方形の座棺に埋葬された木棺墓であったと推測される。また、4・14・19号土坑では六道銭と考えられる寛永通宝が出土している。
3区は丘陵の南西に面した斜面にあり、標高は12〜17mほどである。斜面は段状に開削されており、調査区は上段と下段に分かれている。遺構は調査区全体から確認され、溝状遺構や土坑、ピット等が検出された。上段はL字状の段になっており、この形状に合わせて溝状遺構が延びている。西側では南北方向に延びる溝状遺構と段があり、階段状になっている。東側では1号溝状遺構が東西方向に約40mに亘って確認された。全体は直線的に延びているが、東端部で南方向に屈曲している。下段では、上段との境付近は遺構がほとんど見られず、西側に向かって遺構の密度が高くなっているため、東側は段を成形する際に大きく削平を受けていると考えられる。3号土坑は径約3mの平面楕円形で、深さ約20㎝を測る。床面は比較的平坦であり、壁面は緩やかな傾斜を持って立ち上がる。ここでは土師器埦などが出土している。
今回の調査では、平安時代〜近世の遺物が主体となっており、当該期の周辺地域の状況を考える上で重要な資料となった。
2区 14号土坑完掘状況(南西から)
2区 14号土坑銭貨出土状況(北西から)
3区 1号溝条遺構掘削状況(北西から)
主な遺構
弥生時代・平安時代〜近世 | 墳墓、溝状遺構、土坑、ピットなど |
主な遺物
弥生時代・平安時代〜近世 | 弥生土器、平安時代〜室町時代の土師器、瓦器、瓦質土器、輸入陶磁器、近世の陶磁器など |
コンテナ | 86箱 |